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磁気ばんそうこう用フェライト磁石製造の歴史②
2022/3/30
今回は、磁気ばんそうこう用フェライトの歴史①のお話の続きです。
↓前回の記事はコチラ
磁気ばんそうこう用 フェライト磁石の歴史 ①
前回最後に残った以下の問題について
①肌に黒い粉がつく
②磁石の表面がざらざらして、気持ち悪い
まず、①の肌に黒い粉が付くという問題ですが
フェライト磁石の主成分は酸化鉄(化学式:Fe2O3)で、もともと鉄のサビです。
それを他の成分と混合して、粉にした物をプレスで固めて焼結します。
最終的には、擦れるとその酸化被膜が浮いてきて黒くなります。
それで、表面の酸化被膜を研磨バレルで取ってしまうと
フェライト結晶の層になり、表面が擦れても取れなくなる事が分かりました。
次に②の、表面がざらざらして気持ち悪い、見た目が汚いなどの問題ですが
初めは、洗剤で洗ったり磁石をラッカースプレーなどでコーティングしたり
または、1個1個を布で擦ったりと試行錯誤していました。
もちろん、ラッカー等は体に悪いし、1個1個布で擦っていては量産になりません。
丁度、この姫路市白浜町はタイヤ巻のチェーンをたくさん作っていて
チェーンの表面を光らせる為に、回転バレルに皮を入れて一緒に回転させると
確かにピカピカになっているのを見ました。
これからヒントを得て、同じように皮と磁石を回転バレルに入れてみたところ
確かに、磁石の表面がピカピカになってきました。
がしかし、皮に付着している粉が磁石についてしまい
結果的にゴミが付着した磁石になってしまいました。
その後、色々と試行錯誤を繰り返し
今度は皮ではなく、光沢出し研磨石と洗剤を入れて何日間か回転させるてみると
希に黒光りする磁石が出来上がる事が分かりました。
そうして、その状態を再現するために約2カ月強かけて
光沢出し研磨石と洗剤、バレルの回転数と時間を色々組合せて試験すると
やっと、ピカピカに光った磁石が出来るようになりました。
↑回転バレル
↑バレルの中に色々入れて磁石と一緒に回します
他のメーカーからも、こっそりと調べにきたり、見学に来られたりしましたが
結果的には、同じようなツヤ・光沢は出ない様でした。
この光沢出しにはバレルの後、最後に水分を取る作業が必要です。
最後の作業ですが、これも同じ白浜地区でカマボコ板を作っているメーカーがありまして
板を作る工場で出る木くずを、磁石と一緒に振動回転させると
表面がほんとに綺麗になることが分かりました。
↑振動バレル
↑秘伝の木くず
この製造方法で生産したおかげで、日本の磁気ばんそうこうに使われる磁石は
ほとんど弊社製になりました。
コロナ前の時は、海外からの観光客が多数日本に来て
磁気ばんそうこうを御土産に買って帰っていたので、良く売れていました。
しかし、海外からの観光客がほとんど来ない今
現状、少なくなって来ているのが非常に残念です。